中学校では、たくさんの種類の化学反応式を勉強します。
この記事では、「化学変化と状態変化の違い」「化学反応式の書き方」「化学反応式の一覧」などについて解説しています。
それでは早速、化学反応式について一緒に学習していきましょう!
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0. 「化学変化」の記事 一覧
「化学変化」の単元に関係する記事の一覧です!
今、学習している内容がどこにあたるか確認しておきましょう!
1. 化学変化と状態変化の違い
まずは、「化学変化」と「状態変化」の違いを確認しておきましょう。
● 化学変化 … 物質がくっついたり離れたりして別の物質ができること。
例)2H2 + O2 → 2H2O (水素 + 酸素 → 水)
● 状態変化 … 温度の変化によって、物質が「固体」「液体」「気体」に変化すること。
例)「氷(固体)」「水(液体)」「水蒸気(気体)」の状態変化
2. 化学反応式とは
化学反応式 … 化学変化で起こる反応を式で表したもの。
化学反応には、書き方のルールがあります。書き方のルールをおさらいしておきましょう。
① 式は左から右に書く
化学反応式は数学の式と同じように左から右に書きます。
例)2H2 + O2 → 2H2O
②「=」ではなく、「→」を書く
数学では「=」を計算の間に書きますが、化学反応式は「→」を使います。理由は、化学反応は一度起きたら元には戻らないからです。
例) 〇 2H2 + O2 → 2H2O
× 2H2 + O2 = 2H2O
③ 式の左と右で元素の数が同じになる。
例えば、「Fe(鉄) + S(硫黄) → FeS(硫化鉄)」の場合、式の左(黄)と式の右(青)では鉄と硫黄がそれぞれ1つずつになっており、同じ数になっています。どんなに複雑な化学反応式でもこの決まりは絶対です。
化学反応式には、色々な「元素記号」がでてきます。「元素記号」や「元素の性質」について復習したい人は下の記事も参考にしてください!
3. 化学反応式の一覧
化学反応には、その反応の特徴によって、「化合」「分解」「還元」「中和」「その他」などがあります。
今回は、反応の種類ごとに、化学反応式をまとめました。
特に大切なものは、青の下線を引いてあるので、よく確認しておきましょう!
① 化合
内容に入る前に、化学反応式を理解するうえで重要な用語を押さえておきましょう。化合には、「酸化」や「燃焼」といった色々な種類があります。
化合 … 2つ以上の物質が結合し、別の物質ができること。
酸化 … 物質が酸素と化合すること。化合の一種。
燃焼 … 物質が光や熱を発しながら酸素と化合すること。化合の一種。
実験内容 | 化学反応式 |
鉄と硫黄の化合 | Fe + S → FeS (鉄 + 硫黄 → 硫化鉄) |
銅と硫黄の化合 | Cu + S → CuS (銅 + 硫黄 → 硫化銅) |
水素の燃焼 水の合成 | 2H₂ + O₂ → 2H₂O (水素 + 酸素 → 水) |
炭素の完全燃焼 | C + O₂ → CO₂ (炭素 + 酸素 → 二酸化炭素) |
硫黄の燃焼 | S + O₂ → SO₂ (硫黄 + 酸素 →二酸化硫黄 ) |
スチルウール(鉄)の燃焼 | 2Fe + O₂ → 2FeO (鉄 + 酸素 → 酸化鉄) |
マグネシウムの燃焼 | 2Mg + O₂ → 2MgO (マグネシウム + 酸素 → 酸化マグネシウム) |
銅の酸化 | 2Cu + O₂ → 2CuO (銅 + 酸素 → 酸化銅) |
② 分解
分解 … 物質が2種類以上の別の物質に分かれること。
物質は化学反応によって、化合だけでなく分解もされます。次は「分解」に関する化学反応式です。
実験内容 | 化学反応式 |
炭酸水素ナトリウムの分解 | 2NaHCO₃ → Na₂CO₃ + CO₂ + H₂O (炭酸水素ナトリウム → 炭酸ナトリウム + 二酸化炭素 + 水) |
酸化銀の分解 | 2Ag₂O → 4Ag + O₂ (酸化銀 → 銀 + 酸素) |
過酸化水素水(オキシドール) の分解 | 2H₂O₂ → 2H₂O + O₂ (過酸化水素 → 水 + 酸素) |
水の電気分解 | 2H₂O → 2H₂ + O₂ (水 → 水素 + 酸素) |
塩化銅水溶液の電気分解 | CuCl₂ → Cu + Cl₂ (塩化銅 → 銅 + 塩素) |
塩酸の電気分解 | 2HCl → H₂ + Cl₂ (塩酸 → 水素 + 塩素) |
③ 還元
還元 … 酸素を含む物質(酸化物)から酸素が取り去られる反応。酸化の逆。
酸素は様々な物質と化合しますが、物質の種類によって化合のしやすさには違いがあります。この性質を利用して物質に化合している酸素を別の物質にくっつけることができます。
実験内容 | 化学反応式 |
酸化銅の還元(炭素) | 2CuO + C → 2Cu + CO₂ (酸化銅 + 炭素 → 銅 + 二酸化炭素) |
酸化銅の還元(水素) | CuO + H₂ → Cu + H₂O (酸化銅 + 水素 → 銅 + 水) |
酸化鉄の還元(炭素) | 2Fe₂O₃ + 3C → 4Fe + 3CO₂ (酸化鉄(Ⅱ) +炭素 → 鉄 + 二酸化炭素) |
酸化鉄の還元(水素) | Fe₃O₄ + 4H₂ → 3Fe + 4H₂O (酸化鉄(Ⅲ) + 水素 → 鉄 + 水) |
二酸化炭素の還元 | CO₂ + 2Mg → C + 2MgO (二酸化炭素 + マグネシウム → 炭素 + 酸化マグネシウム) |
④ 中和
中和 … 酸性とアルカリ性の水溶液が混ざることで、水と塩(えん)ができる反応のこと。
実験内容 | 化学反応式 |
塩酸と水酸化ナトリウム | HCl + NaOH → NaCl + H₂O (塩酸 + 水酸化ナトリウム → 塩化ナトリウム + 水) |
硫酸と水酸化バリウム | H₂SO₄ + Ba(OH)₂ → BaSO₄ + 2H₂O (硫酸 + 水酸化バリウム → 硫酸バリウム + 水) |
酢酸と水酸化ナトリウム | CH₃COOH + NaOH → CH₃COONa + H₂O (酢酸 + 水酸化ナトリウム → 酢酸ナトリウム + 水) |
酢酸とアンモニア | CH₃COOH + NH₃ → CH₃COONH₄ (酢酸 + アンモニア → 酢酸アンモニウム) |
⑤ その他の反応
最後は、これまで紹介したもの以外の化学反応式です。
実験内容 | 化学反応式 |
塩酸とマグネシウムの反応 | 2HCl+ Mg → MgCl₂ + H₂ (塩酸 + マグネシウム → 塩化マグネシウム + 水素) |
塩酸と炭酸カルシウムの反応 | 2HCl + CaCO₃ → CaCl₂ + CO₂ + H₂O (塩酸 + 炭酸カルシウム → 塩化カルシウム + 二酸化炭素 + 水) |
塩酸と炭酸水素ナトリウムの反応 | HCl + NaHCO₃ → NaCl + CO₂ + H₂O (塩酸 + 炭酸水素ナトリウム → 塩化ナトリウム + 二酸化炭素 + 水) |
亜鉛と硫酸の反応 | Zn + H₂SO₄ → ZnSO₄ + H₂ (亜鉛 + 硫酸 → 硫酸亜鉛 + 水素) |
硫化鉄と塩酸の反応 | FeS + 2HCl → FeCl₂ + H₂S (硫化鉄 + 塩酸 → 塩化鉄 + 硫化水素) |
エタノールの燃焼 | C₂H₅OH + 3O₂ → 2CO₂ + 3H₂O (エタノール + 酸素 → 二酸化炭素 + 水) |
石灰石と塩酸の反応 | CaCO₃ + 2HCl → CaCl₂ + CO₂ + H₂O (石灰石 + 塩酸 → 塩化カルシウム + 二酸化炭素 + 水) |
塩化アンモニウムと水酸化カルシウムの加熱 | 2NH₄Cl + Ca(OH)₂ → CaCl₂ + 2NH₃ + 2H₂O (塩化アンモニウム + 水酸化カルシウム → 塩化カルシウム + アンモニア + 水) |
炭酸水素ナトリウムと塩酸の反応 | NaHCO₃+ HCl → NaCl + CO₂ + H₂O (炭酸水素ナトリウム + 塩酸 → 塩化ナトリウム + 水) |
4. まとめ
今回の記事では、「化学反応式」についてまとめていきました。
全ての化学式を覚える必要は全くありませんが、化学反応式を書く時の決まりや「化合」や「分解」、「中和」などの化学反応の種類の違いについてはしっかりと押さえておきましょう。
最後まで、ご精読ありがとうございました!
よくわかりました!
コメントありがとうございます!これからも分かりやすく役に立つ記事を目指していきます(^O^)/