中学校の理科では、「相同器官」「相似器官」「痕跡器官」について学習しますが、それぞれの違いは理解できていますか?
この記事では、「相同器官」「相似器官」「痕跡器官」の違いやその例について解説しています。
それでは早速、「相同器官」「相似器官」「痕跡器官」について一緒に学習していきましょう!
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0. 「動物のからだのつくりとはたらき」の記事 一覧
中学2年生の「動物のからだのつくりとはたらき」の単元に関係する記事の一覧です!
今、学習している内容がどこにあたるか確認しておきましょう!
1. 相同器官・相似器官・痕跡器官器官とは
まずは、「相同器官」「相似器官」「痕跡器官」がどのようなものかをチェックしておきましょう!
●相同器官
起源やつくりは同じだが、はたらきは違うと考えられている器官。
例)「ヒトの腕」と「クジラのヒレ」と「コウモリの翼」など
●相似器官
はたらきは同じだが、起源やつくりが違うと考えられている器官。
例)「コウモリの翼」と「チョウの羽」など
●痕跡器官
昔使われていた器官のなごり。
例)「ヘビの後ろ足の骨」「ヒトの尾骨」「クジラの後ろ足」など
どれも名前は似ていますが、全く違う意味があります。
それぞれの違いについて詳しくみていきましょう!
2. 相同器官(そうどうきかん)
① 相同器官とは
「相同器官(そうどうきかん)」は、起源やつくりは同じだが、はたらきが違うと考えられている器官のことです。
生物は進化の過程で、新たな環境に適応するために体のつくりを変化させてきました。
そのため、もともとは同じように使われていた体の部分がだんだん変化し、現在では全く違う使われかたをしているものもあります。
② 相同器官の例
例えば、「ヒトの腕」「コウモリの翼」「クジラの胸ヒレ」は相同器官になります。
詳しい説明に入る前に、それぞれの形をみてみましょう。
●ヒトの腕
●コウモリの翼
●クジラの胸ビレ
これらは、形も全く違いますが、はたらきも「道具をつかう(ヒト)」「空を飛ぶ(コウモリ)」「海を泳ぐ(クジラ)」など様々です。
しかし、ヒト・コウモリ・クジラは同じ「ホニュウ類」に分類される動物で、同じ祖先から進化したと考えられています。
そのため、骨格を見ると、骨のつくりに共通する点が多くみられます。
このような器官のことを「相同器官」といいます。
3. 相似器官(そうじきかん)
① 相似器官とは
「相似器官(そうじきかん)」は起源やつくりは違うが、はたらきが同じであると考えられている器官のことです。
生物は進化するうえで、体のつくりを変化させながら、様々な環境に適応してきました。
そのため、「空を飛ぶ」という目的のために体のつくりを変えた結果、もともとは体の違う部分でも同じはたらきをもっている部分ができることがあります。
② 相似器官の例
例えば、「チョウの羽」と「ハトの翼」は相似器官です。
●チョウの羽
●ハトの翼
この2つは、どちらも「空を飛ぶ」はたらきがあります。
しかし、体のつくりを見てみると、チョウは「無セキツイ動物」に属し、「外骨格」という体の作りをしています。
一方で、ハトは「セキツイ動物」に属し、「内骨格」という体のつくりをしています。
つまり、「チョウの羽」と「ハトの翼」は、「空を飛ぶ」というはたらきは同じですが、全く違うつくりのものということができます。
4. 痕跡器官(こんせききかん)
① 痕跡器官とは
「痕跡器官(こんせききかん)」は、昔使われていた器官のなごりのことです。
生物はこれまで色々な進化を遂げてきました。
そのため、進化により体のつくりが変化し、使われなくなった器官もあります。
その器官の痕跡が体に残ったものを「痕跡器官」といいます。
② ヒトの痕跡器官の例
実は、私たちヒトにも多くの痕跡器官があります。
「尾骨」「盲腸の虫垂」「親知らず」「ダーウィン結節」「結膜半月ひだ」などは主なヒトの痕跡器官です。
(1)尾骨(びこつ)
「尾骨(びこつ)」は、「尾骶骨(びていこつ)」とも呼ばれる、おしりのところにある小さな骨です。
昔のシッポのなごりで、他のホニュウ類などと比較すると、人ではかなり退化している。
(2)盲腸の虫垂
「虫垂(ちゅうすい)」は、盲腸の先端にある細く垂れ下がった部分のことです。
昔はセルロースの消化に役立っていた器官ではないかといわれています。
なお、現在、虫垂は「善玉菌の備蓄機能」や「体の免疫機能に関わっている」などいろいろなはたらきがあることが分かっています。
(3)親知らず
「親知らず」は奥歯の中で一番奥に生える歯のことで、正式名称を「第三臼歯(だいさんきゅうし)」といいます。
親知らずは、正常に生えてくる方が珍しく、横向きに生えたり、下向きに生えてしまうことがあります。
そのため、正常に使われることは少なく、退化しつつある器官であると考えられています。
(4)ダーウィン結節
「ダーウィン結節」は、耳の上の方にあるとがった部分のことです。
サルなどでは発達しており、耳がとがったような形をしています。
(5)結膜半月ひだ
「結膜半月ひだ(けつまくはんげつひだ)」は、目元にあるピンク色の膜のことで、「瞬膜(しゅんまく)」の痕跡器官といわれています。
「瞬膜」は、魚類や鳥類、両生類、ハチュウ類がもつ器官で、「まぶた」のように目をおおい、保護する役割があります。
瞬膜は、半透明や透明のものが多く、強い光や水の流れ、砂ぼこりなどから目を保護する際に使われます。
③ その他の動物の痕跡器官の例
他の動物についても有名なものを紹介していきます。
有名な痕跡器官には、「ヘビの脚の骨」「クジラの脚の骨」などがあります。
(1)ヘビの脚の骨
ヘビは皆さんも知っているように、外見上は脚を持っていません。
しかし、ヘビの祖先はもともと脚をもっていたと考えられており、「ニシキヘビ類」はお腹の後方に爪のような突起があります。
また、トカゲの中には足のない種類がたくさんおり、「アシナシトカゲ」「ミミズトカゲ」「ヒレアシトカゲ」「フタアシトカゲ」などがいます。
(2)クジラの脚の骨
クジラは、魚のように見えますが、「ホニュウ類」に分類される生物です。
クジラの祖先はもともと陸にいたと考えられており、クジラには後ろ脚の痕跡と考えられる小さな骨があります。
5. まとめ
今回は、「相同器官」「相似器官」「痕跡器官」について解説しました!
どれも似た名前の器官ですが、それぞれ全く違う意味があります。
生物の進化にも注目しつつ、3つの器官の違いを理解してくれればと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!