中学校の理科では、色々な試薬・指示薬について学習しますが、よく理解できていますか?
この記事では、「リトマス紙」「BTB溶液」「フェノールフタレイン」「石灰水」「ヨウ素液」「ベネジクト液」「塩化コバルト紙」などについて解説しています。
それでは早速「試薬・指示薬の種類」について一緒に学習していきましょう!
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1. 試薬・指示薬とは?
試薬・指示薬は、水溶液の性質や液体・気体の中に含まれる物質を調べるためのものです。
中学で使う試薬だけでもたくさんの種類があるため、一覧で確認できるように記事を書きました。
2. pH(酸性・中性・アルカリ性)に関係する指示薬の一覧
指示薬 | 酸性 | 中性 | アルカリ性 |
リトマス紙 | 青色 → 赤色 | 変化なし | 赤色 → 青色 |
BTB溶液 | 黄色 | 緑色 | 青色 |
フェノールフタレイン溶液 | 透明 | 透明 | 赤色 |
ムラサキキャベツ液 | 赤色 | 紫色 | 黄色 |
pH試験紙 | 赤色 | 緑色 | 青色 |
まずは、pH(酸性・中性・アルカリ性)を判別する指示薬を一覧で紹介します。
中学で使う指示薬は、「リトマス紙」「BTB溶液」「フェノールフタレイン」「ムラサキキャベツ液」「pH試験紙(万能試験紙)」の5種類です。
特に重要なのは、「リトマス紙」「BTB溶液」「フェノールフタレイン溶液」の3種類です。この3種類は必ず押さえておきましょう。
リトマス紙は赤色と青色があり、青色は酸性、赤色はアルカリ性の時のみ色が変化します。
また、フェノールフタレイン溶液はアルカリ性の時のみ色が変化します。
それ以外のBTB溶液、ムラサキキャベツ液、pH試験紙は酸性・中性・アルカリ性の全てで色の変化を示します。
3. pHに関係する指示薬の説明
① リトマス紙(青、赤)
「リトマス紙」は、別名「リトマス試験紙」ともいいます。
リトマスゴケという地衣類(コケ類)からとれる紫色の染料を紙にしみこませたものです。
リトマス紙は赤色と青色の2種類があります。
リトマス紙の色の変化は、次の通りです。
【赤色のリトマス紙】
アルカリ性で、赤色 → 青色 に変化します。
【青色のリトマス紙】
酸性で、青色 → 赤色 に変化します。
ちなみに、
青色のリトマス紙は、pH4.5以下で青色 → 赤色、
赤色のリトマス試験紙は、pH8.3以上で赤色 → 青色になります。
② BTB溶液
「BTB溶液」は、酸性で黄色、中性で緑色、アルカリ性で青色に変化します。
ちなみに、「BTB溶液」は、pHが、6.0以下で黄色、6.0~7.6で緑色、7.6以上で青色になります。
「BTB溶液」の「BTB」ってどういう意味なの?
するどい質問だね!
テストには出ない内容だけど、「BTB溶液」についてもっと詳しく解説するね!
「BTB溶液」の「BTB」は、「ブロモチモールブルー」もしくは「ブロムチモールブルー」、「ブロモチモールスルホンフタレイン」を英語で訳したものです。
BTBはC27H28Br2O5Sで表される、淡黄色または淡紅色の粉末です。
BTB溶液は、BTB 0.1 gをエタノール20 mLに溶かし、水を加えて100 mLにしたものです。
光に当たると色が変色することがあるので、保存するときには注意が必要です。
③ フェノールフタレイン溶液
「フェノールフタレイン溶液」は、アルカリ性で赤色になる指示薬です。
「フェノールフタレイン溶液」は、pHが8.3以下では無色、pHが10以上だと赤色になります。
ちなみに、フェノールフタレインは、元々は白色または淡黄色の固体の物質です。
この固体のフェノールフタレイン1.0gをエタノール90mLに溶かし、水を加えて100mLにすることでフェノールフタレイン溶液ができます。
そのため、水溶液がアルカリ性か調べる時に使用します。
④ ムラサキキャベツ液
「ムラサキキャベツ液」は、その名の通りムラサキキャベツを水にいれて温めたあとの液体のことです。
ムラサキキャベツの代わりにナスやブドウの皮、赤シソの葉などを使うこともあります。
これらの植物には「アントシアニン」という紫色の色素が含まれており、これの構造がpHによって変化することで色が変わります。
ムラサキキャベツ液の色の変化は、次の通りです。
酸性では赤色、中性では紫色、アルカリ性では黄色を示します。
正確には、赤色・もも色・紫色・青色・緑色・黄色の順番で色が変化していきます。
色については、あまりテストで出ることはないため、覚えなくても大丈夫ですが、「ムラサキキャベツ液」の存在については知っておきましょう!
⑤ pH試験紙(万能試験紙)
「pH試験紙」は、溶液のpHを詳しく調べることができる専用の試験紙です。
「pH試験紙」は、その特徴から「万能試験紙」「万能pH試験紙」とも呼ばれます。
pH試験紙には、いろいろな種類がありますが、中学校で使うのは「ロールタイプ」と呼ばれる、下のようなものです。
このタイプのpH試験紙は、1~14のpHで14色の変化をします。そのため、大まかなpHを測定することができます。
4. その他の指示薬
① 石灰水
「石灰水」は、「消石灰」とも呼ばれる「水酸化カルシウム」(Ca(OH)2)の飽和水溶液です。
石灰水は、「二酸化炭素(CO₂)」が溶けこむと、「炭酸カルシウム」ができることで白く濁ります。
石灰水を作るときには、水に大量の水酸化カルシウムを加えてよくかき混ぜ、2日~一週間ほど置きます。そして、この上澄み液を使用します。
強いアルカリ性なので、使用には注意が必要です。
昔は校庭のラインパウダーとして使われていたが、現在は「炭酸カルシウム」に置き換えられています。
② ヨウ素液
「ヨウ素液」は、固体であるヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶かしたうすい黄色の液体です。
デンプンに反応して「ヨウ素デンプン反応」を起こし、青紫色になります。
ヨウ素は、劇物(毒性のある物質)なので絶対に口に入ることがないように注意しましょう。
③ ベネジクト液
「ベネジクト液」は、無水炭酸ナトリウム・クエン酸三ナトリウム・硫酸銅(Ⅱ)を使うことで調製することができます。
ベネジクト液は、元々、青色をしています。
しかし、「糖類」と反応して、赤褐色に変化します。色が変化するためには、加熱が必要です。
ちなみに、なぜ色の変化が起こるかというと、赤褐色の「酸化銅(Ⅰ)」の沈殿ができるためです。
しかし、「砂糖(ショ糖、スクロース)」は還元性がないため検出することができません。
検出できるのは、「ブドウ糖(グルコース)「果糖(フルクトース)」「麦芽糖(マルトース)」などです。
④ 塩化コバルト紙
「塩化コバルト紙」は、「塩化コバルト(CoCl2)」の水溶液をろ紙にしみこませたものです。
塩化コバルト紙は、乾燥しているときは青色、水分を含むときは赤色に代わる性質があります。
塩化コバルト紙は、手の水分がつかないようにピンセットでつかみます。
また、塩化コバルトには毒性があるため、口にいれたりはしないようにしましょう。
⑤ 酢酸カーミン溶液・酢酸オルセイン溶液
「酢酸カーミン溶液」と「酢酸オルセイン溶液」は、どちらも細胞の核や染色体を赤色に染める染色液です。
酢酸カーミン溶液は、45%酢酸水溶液・カーミン(塩基性色素)・鉄イオンを含む物質をつかってつくられます。
酢酸カーミン溶液のほうが、酢酸オルセイン溶液より核が染色されやすいです。
⑥ 酢酸ダーリア溶液
「酢酸ダーリア溶液」は、酢酸カーミン溶液や酢酸オルセイン溶液と同じように、細胞の核や染色体を染める染色液です。
酢酸ダーリア溶液は、核や染色体を青色(紫色)に染めます。
酢酸カーミン溶液や酢酸オルセイン溶液よりも少し値段が高いですが、染色の成功率も高いです。
中学では、「酢酸ダーリア溶液」よりも「酢酸カーミン溶液」や「酢酸オルセイン溶液」のほうがよく使われます。