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イモリとサンショウウオの違いは? | 両性類の分類について解説!


イモリとサンショウウオは、どちらも「両生類」に分類される動物ですが、その違いは理解できていますか?

この記事では、「イモリとサンショウウオの違い」「イモリとサンショウウオの共通点」「日本のイモリ・サンショウウオ」などについて解説していきます。

それでは、「イモリとサンショウウオの違い」について、一緒に学んでいきましょう!

1. イモリとサンショウウオの違い

イモリとサンショウウオには、様々な違いがありますが、次の4つを押さえておきましょう。

イモリとサンショウウオの違い


① 皮ふの質感


② 子どもの増やし方

③ 卵の産みかた

④ 生息地

① 皮ふの質感

イモリは「ザラザラな皮ふ」、サンショウウオは「ツルツルな皮ふ」をしています。

下の写真は、アカハライモリとカスミサンショウウオの写真です。

アカハライモリ
Photo by  Σ64(2018)/Adapted. / CC BY 3.0
カスミサンショウウオ
Photo by Keisotyo (2010) / Adapted. / CC BY-SA 4.0

写真でも分かるように明らかに皮ふの質感に違いがありますよね。


一目でイモリかサンショウウオかを見分ける時には、皮ふの質感に注目してみてください!

② 子どもの増やし方

繁殖するときにも、イモリとサンショウウオには違いがみられます。


イモリはメスの体内に卵があるときに、オスの精子を体内に取り込み、受精させます。


サンショウウオは、メスが卵を産むときにオスが精子をかけて受精させます。

③ 卵の産み方

イモリは、卵を1つずつ水草などに産みつけます。


産む場所は流れのない水の中やゆるやかな流れの水の中です。


一方で、サンショウウオはたくさんの卵がはいったかたまり(卵のう)を産みます。産む場所は流れのない水の中や流れる水の中です。


また、サンショウウオの「卵のう」の形にはだ円状の「アケビ型」、バナナのような「バナナ型」、ぐるぐるとした「コイル型」、ぶどうのような「ヤマブドウ型」など色々な形があります。

④ 生息地

イモリの成体は、沼や池、流れのゆるい水路など水中にすんでいます。


サンショウウオの成体は、繁殖期以外陸地にすんでいます。

2. イモリとサンショウウオの共通点

イモリとサンショウウオは違う点もありますが、同じ両生類として同じ特徴も持っています。共通点についても確認しておきましょう。

イモリとサンショウウオの共通点


① 「両生類」の「有尾類」に分類される。

② しめった皮ふを持ち、水辺や水中に生息する。

③ 幼体のころはエラを持ち、エラ呼吸をしている。

① 「両生類」の「有尾類」に分類される

イモリとサンショウウオはどちらも「両生類(りょうせいるい)」の「有尾類(ゆうびるい)」に分類されます。


(ちなみに、生物学的に正しい表現としては「両生類」は「両生綱(りょうせいこう)」、「有尾類」を「有尾目(ゆうびもく)」といいます。)


「有尾目(ゆうびもく)」には、サンショウウオオオサンショウウオウーパールーパー(メキシコサラマンダー、アホロートル)イモリなどが属しています。


また、同じ両生類でも「無尾目(むびもく)」というグループには、しっぽのない両生類である「カエル」が属しています。

② しめった皮ふをもち、水辺や水中に生息する

イモリやサンショウウオは、どちらもしめった皮ふをもっています。


両生類の多くがこのしめった皮ふで「皮ふ呼吸」を行なっています。


しめった皮ふは乾燥にあまり耐性がないため、両生類の多くが水の中や水辺で暮らしています。イモリやサンショウウオも例外ではありません。

③ 幼体のころはエラ呼吸をしている

イモリもサンショウウオも幼生のころは、オタマジャクシと同じように水中生活をしています。


この時期は、どちらも首の横に「エラ」がとび出しており、水中で「エラ呼吸」を行なうことができます。

2. 日本のイモリ・サンショウウオ

日本には3種類のイモリが生息しています。

・アカハライモリ
・シリケンイモリ
・イボイモリ

日本には、49種類のサンショウウオが生息しています。全ては載せきれないため、一部を載せています。

・アベサンショウウオ
・イシヅチサンショウウオ
・エゾサンショウウオ
・オオイタサンショウウオ
・オオダイガハラサンショウウオ
・オキサンショウウオ
・カスミサンショウウオ
・クロサンショウウオ
・ツシマサンショウウオ
・トウキョウサンショウウオ
・トウホクサンショウウオ
・ハクバサンショウウオ
・ヒダサンショウウオ
・ブチサンショウウオ
・コガタブチサンショウウオ
・ベッコウサンショウウオ
・ホクリクサンショウウオ
・キタサンショウウオ
・ハコネサンショウウオ
・オオサンショウウオ

サンショウウオは乾燥に弱く、移動もあまりしないため、他の地域へ進出することが少なく、独自の進化を遂げたため、種類が多くなっています。

4. 【コラム】ヤモリは何類?

ヤモリは「ハチュウ類」です。イモリやサンショウウオが「両生類」なので、ヤモリとはグループが異なります。


ヤモリは、ハチュウ類の特徴である「ウロコ」や「殻のある卵」などをもっており、乾燥に耐性があります。


また、やもりは幼体の時期も「エラ呼吸」ではなく、「肺呼吸」を行ないます。


「イモリとヤモリの違い」を詳しく知りたい方は下の記事も参考にしてください!

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5. まとめ

今回は、イモリとサンショウウオについて解説していきました!


その見た目から、どちらも嫌われがちの動物ですが、その特徴を知り、少しでも好きになってもらえればと思います。


最後に、イモリとサンショウウオの違いを一覧表で確認しておきましょう。

イモリサンショウウオ
皮ふの質感ザラザラツルツル
子どもの増やし方メスがオスの精子を
体内に取り込む
メスの産卵時に
オスが精子をかける
卵の産み方1粒ずつ水草に産む卵のかたまり(卵のう)を産む
生息地(成体)沼、池、流れのゆるい水路繁殖期以外は陸地


最後までよんでいただき、ありがとうございました!