あなたは、コウモリが何類か自信をもって答えられますでしょうか?
この記事では、「コウモリの分類」「コウモリの生態」「分類を間違えやすいその他の動物」などについて解説していきます!
それでは、コウモリの分類について一緒に勉強していきましょう!
1. コウモリは何類?
結論からいうと、コウモリは「ホニュウ類」です。
空を飛んだり、翼をもっているため、よく「鳥類」と間違われるコウモリですが、ヒトやイヌ、ネコと同じ哺乳類に分類されます。
コウモリは「動物界、哺乳綱、コウモリ目」に属する動物の総称で、世界には約1000種類のコウモリが生息しています。
2. コウモリの特徴
コウモリは、鳥類と次の5つの点で違いがみられます。
① 卵生ではなく、胎生で子を産む
② 羽毛ではなく、毛がある
③ クチバシや足のウロコがない
④ 翼は皮ふがのびたもの
⑤ ぶら下がることに特化している
それぞれ、詳しくみていきましょう!
① 卵生ではなく、胎生で子を産む
一般的に、鳥類は卵で子を産みますが、コウモリは人間と同じように、お腹の中で子どもを育て、そのままのかたちで産みます。
卵で産むことを「卵生」、お腹で育ててから産むことを「胎生」といいます。
卵生で子を産む動物には「魚類」「両生類」「ハチュウ類」「鳥類」がいますが、「胎生」で子どもを産むのは「ホニュウ類」だけです。
② 羽毛はなく、毛がある
コウモリには鳥類のような「羽毛」はありません。その代わりに、ヒトやイヌと同じように翼以外の部分は「毛」で覆われています。
羽毛は、中心の軸になる部分から細かい羽がはえています。一方で、毛は分岐することなく、根元から同じ太さではえています。
③ クチバシや足のウロコがない
コウモリは鳥類の特徴である「クチバシ」や「足のウロコ」をもちません。
鳥類のクチバシには歯がありませんが、コウモリは犬歯や臼歯などの歯をもちます。また、足のウロコも鳥類にしか見られない特徴のひとつです。
④ 翼は皮ふがのびたもの
鳥類とコウモリの翼ではつくりが少し異なります。
鳥類の翼は、羽毛でつつまれていますが、コウモリの翼は「皮膜(ひまく)」とよばれる皮ふで覆われています。
また、コウモリの手には人間と同じ5本の指があり、親指以外は皮膜の中に埋もれています。
皮膜の外に飛び出た親指は「鉤爪(かぎづめ)」としての役割を果たしており、排せつをするときに体を支えたり、地面をはい回るときに使われます。
⑤ ぶら下がることに特化している
鳥類は木にとまるときに頭を上にしてとまりますが、コウモリは頭を下にして逆さにぶら下がります。
これには、足のつくりの違いが関係しています。
鳥類の足は筋肉が発達しており、自分の体重を簡単に支えることができます。そのため、頭を上にした体制の方が安定して木にとまることができます。
一方で、コウモリの足は、自分のからだを支えるだけの筋肉がない代わりに、腱(けん)が発達しており、木などをつかむことに特化しています。
また、コウモリは体が小さいため、血液が頭に集まり、頭痛が起こることもないため、リラックスした状態でぶら下がり続けることができます。
3. 日本のコウモリ
コウモリと鳥類の違いについては理解できましたでしょうか?
世界には、約1000種類ものコウモリがいるといわれていますが、日本に生息しているコウモリは35種類です。
ちなみに、日本には在来種のホニュウ類が100種類のみのため、日本のホニュウ類のうちの約3分の1がコウモリ類ということになります。
日本国内では、種数の多いコウモリ類ですが、数が少ない種も多く、絶滅が心配されている種も多くいます。そのため、今後はコウモリの種数が減少してしまうかもしれません。
日本にいる35種類のコウモリの全てを紹介することはできないため、今回は、「アブラコウモリ」「オガサワラオオコウモリ」「二ホンウサギコウモリ」「キクガシラコウモリ」4種類のみ紹介したいと思います。
① アブラコウモリ
市街地でみかけるコウモリのほとんどがアブラコウモリであるといわれており、東京の都心でも夕方~夜にかけてみることができます。
日本では唯一人の家をすみかとする種で、別名「イエコウモリ」ともいわれています。
アブラコウモリは夜行性のため、夕方になると活動をはじめ、飛んでいる小型の昆虫を食べます。
また、11月~3月中旬には基本的には冬眠をしていまが、都心部では冬眠の機関でも暖かい日には飛んでいる姿がみられます。
② オガサワラオオコウモリ
別名「フルーツコウモリ」とも呼ばれる植物食の大型のコウモリです。
小笠原諸島に生息している固有種で、国の天然記念物に指定されています。
また、年々その数を減らしており、絶滅危惧種(ⅠB類)に指定されています。
夜行性で、昼間は木にぶら下がって休憩をしています。エサには、ヤシなどの葉、ガジュマル・グアバ・バナナなどの果実、花の蜜、花粉などを食べます。
③ 二ホンウサギコウモリ
北海道と本州(中国地方を除く)に生息しており、その名の通りウサギのような大きな耳をもちます。
洞窟や人工の建造物、木の中の空洞(樹洞)をねぐらとしており、超音波を使って飛んでいる虫を捕食します。
日本全体では、絶滅の心配はありませんが、愛媛県・岡山県・徳島県・奈良県・三重県・和歌山県などの地域では絶滅の危険性が指摘されています。
④ キクガシラコウモリ
北海道~九州の広い地域に生息しています。鼻の形が菊の花に似ていることから、「キクガシラコウモリ」という名前がつきました。
昼間は、洞窟や民家などで休んでおり、夜になると活動を始めます。
エサはコガネムシやカゲロウなどの昆虫類で、主に森林などを飛行しながら昆虫を食べます。
2002~2003年に流行した感染症の「SARS」に似たコロナウイルスが中国のキクガシラコウモリから検出されたことでも有名です。
4. まとめ
今回の記事では「コウモリの分類」について解説しました。
最後に、コウモリと鳥類の5つの違いについては確認しておきましょう!
- 卵生ではなく胎生
- 羽毛ではなく、毛がある
- クチバシや足のウロコがない
- 翼は皮ふがのびたもの
- ぶら下がることに特化している
コウモリと鳥類の違いや日本に生息するコウモリについて、少しでもためになる情報があれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!