中学や高校では、酸化鉄にはいろいろな種類や色があることを習いますが、その違いが気になったことはありませんか?
今回の記事では、「酸化鉄(サビ)とは」「酸化鉄(サビ)の種類と色」「酸化鉄の用途」「酸化鉄が3種類ある理由」などについて解説しています。
それでは、酸化鉄にどのような違いがあるのか、一緒に確認していきましょう!
1. 酸化鉄(サビ)の種類と色
酸化鉄(サビ)は酸素と鉄が化合してできる物質ですが、化学式で表すと「FeO(酸化第一鉄)」「Fe₃O₄(四酸化三鉄)」「Fe₂O₃(酸化第二鉄)」の3種類があります。
これらの酸化鉄は、化学的に異なる性質をもっており、身近な意外なものに利用されていたりします。
① FeO(酸化第一鉄)
FeOは、「酸化第一鉄」や「酸化鉄(Ⅱ)」、「ウスタイト」ともいい、黒色の粉末(黒サビ)です。
FeOは、1つの「Fe²⁺(鉄(Ⅱ)イオン)」と1つの「O²⁻(酸素イオン)」が結合したものです。
FeOは、フライパンやハサミなどに自然に発生することはほとんどなく、シュウ酸鉄(Ⅱ)を真空中で加熱することで得ることができる。
用途としては、「さび止め」や「色素」として使われることが多く、てつ棒の表面に塗ることで、さらにさびることを防いだり、化粧品や刺青(いれずみ)のインクとして利用されます。
② Fe₃O₄(四酸化三鉄)
Fe₃O₄は、「四酸化三鉄」や「酸化鉄(Ⅱ)鉄(Ⅱ)(さんかてつにてつさん)」「磁鉄鉱(じてっこう)」「マグネタイト」などとも呼ばれており、いわゆる「黒サビ」のことです。
Fe₃O₄は、2つの「Fe³⁺(鉄(Ⅲ)イオン)」と1つの「Fe²⁺(鉄(Ⅱ)イオン」、そして4つの「O²⁻(酸素イオン)」がくっついたものです。
鉄(Ⅱ)イオンと鉄(Ⅲ)イオンのどちらも含むため、「酸化鉄(Ⅱ)鉄(Ⅱ)」というややこしい呼び方になりました。
用途としては、鉄鍋や鉄くぎを空焼きして表面に形成し、内部がさびるのを防ぐ「酸化皮膜」として利用します。また、医療業界では、「MRI(核磁気共鳴画像法)」の造影剤として利用されます。
ちなみに、実験や工業的に利用する場合のFe₃O₄は黒色の粉末状をしています。
③ Fe₂O₃(酸化第二鉄)
Fe₂O₃は、「酸化第二鉄」や「酸化鉄(Ⅲ)」「ヘマタイト」などと呼ばれ、「赤サビ」とも呼ばれています。
Fe₂O₃は、2つの「Fe³⁺(鉄(Ⅲ)イオン)」と3つの「O²⁻(酸素イオン)」がくっついたものです。
Fe₂O₃は、鉄が自然に酸化することででき、このサビが内部まで進行すると鉄がボロボロになります。
用途としては、「フロッピーディスクなどの磁気記憶」「金属やガラスの研磨剤」「鉄(Fe)をつくるための材料(テルミット法)」「化粧品や食品の色素」「陶芸の釉薬(ゆうやく)」「病院のMRI(核磁気共鳴画像法)の造影剤」などがあり、多岐にわたって利用されています。
2. 酸化鉄が3種類ある理由
結論からいうと、酸化鉄の材料である「鉄イオン」が2種類あるからです。
酸化鉄は「鉄イオン」と「酸素イオン」がくっつくことでできます。
「酸素イオン」は「O²⁻」の1種類しかありませんが、「鉄イオン」は「Fe²⁺」と「Fe³⁺」があります。
「Fe²⁺」は「鉄(Ⅱ)イオン」、「Fe³⁺」は「鉄(Ⅲ)イオン」といいます。
2種類の「鉄イオン」と「酸素イオン」が3通りの組み合わせでくっつくため、3種類の酸化鉄ができあがります。
「鉄イオン」と「酸素イオン」がどのような組み合わせで反応するのかその化学反応式を確認しておきましょう!
① Fe²⁺ + O²⁻ → FeO (酸化第一鉄、酸化鉄(Ⅱ))
「Fe²⁺」が1つと「O²⁻」が1つの組み合わせ
② Fe²⁺ + 2Fe³⁺ + 4O²⁻ → Fe₃O₄ (四酸化三鉄、酸化鉄(Ⅲ)鉄(Ⅱ))
「Fe²⁺」が1つと「Fe³⁺」が2つと「O²⁻」が4つの組み合わせ
③ 2Fe²⁺ + 3O²⁻ → Fe₂O₃ (酸化第二鉄、酸化鉄(Ⅲ))
「Fe²⁺」が2つと「O²⁻」が3つの組み合わせ
3. まとめ
今回の記事では、「酸化鉄(サビ)の種類」について解説しました。
最後に3種類の酸化鉄(サビ)の特徴を表にまとめました。
今回の内容の振り返りに活用してください。
酸化鉄(化学式) | 別名 | サビの種類 | 用途 |
FeO | 酸化第一鉄、酸化鉄(Ⅱ)、ウスタイト | 黒サビ | さび止め 色素 |
Fe₃O₄ | 四酸化三鉄、酸化鉄(Ⅲ)鉄(Ⅱ)、 磁鉄鉱、マグネタイト | 黒サビ | 鍋や釘の皮膜 MRI |
Fe₂O₃ | 酸化第二鉄、酸化鉄(Ⅲ)、ヘマトタイト | 赤サビ | 磁気記憶 研磨剤 テルミット法 色素 釉薬 MRI |
最後まで、ご精読ありがとうございました!!