1. 高分子とは
① 高分子とは
「高分子」とは、簡単にいうと「たくさんの原子がくっついてできた大きな分子」のことです。
たくさんの原子がくっついて大きなかたまりになっているため、特別な性質を持っています。
高校で習う「分子量」という言葉を使って詳しく説明すると、、
普通の分子は、分子量が多くても数百くらいですが、高分子は数十万になるものも多くあります。
② 高分子でない物質の例
ちなみに、高分子でない物質には次のようなものがあります。
化学式と分子量も参考までに確認してください。
物質名 | 化学式 | 分子量[g/mol] |
水 | H₂O | 18 |
二酸化炭素 | CO₂ | 44 |
アンモニア | NH₃ | 17 |
酸化鉄 | FeO | 160 |
食塩 | NaCl | 58 |
砂糖 | C₁₂H₂₂O₁₁ | 342 |
この表を見ると、中学の授業でよく耳にする物質は高分子ではないことがわかりますね。
2. 高分子の特徴
一般的に、高分子は次のような特徴があります。
全ての高分子に当てはまるわけではありませんが、高分子のイメージのために少し頭にいれておきましょう!
・熱にはそこまで強くない
・かたさに幅がある
(ガラス状 ⇆ ゴム状 ⇆ 液状)
・かるい
3. 身近な高分子
高分子は身の回りにたくさんあります。
まずは家の中にある主な高分子について紹介していきます!
下のイラストのもののどれに高分子が使われているか予想してみてください。
どれもどの家庭にもある一般的なものですね。何が高分子と関係しているかわかりましたか?
それでは、答え合わせといきましょう!
答えは、、、「全て」です!
身近な高分子には、「プラスチック」「繊維(せんい)」「ゴム」「植物や動物」などがあり、色々なところで使われています。
それぞれの特徴は次のとおりです。
① プラスチック
「プラスチック」は、全て高分子からできています。
上の全てのイラストにはプラスチックが使われています。
一番身近な高分子はプラスチックといってもいいかもしれません。
プラスチックには、色々な種類があり、ペットボトルには「ポリエチレンテレフタラート(PET)」、CDケースには「ポリスチレン(PS)」など使い道によって違う種類のものが使われています。
プラスチックの種類についてより詳しく知りたい方は下の記事を参考にしてみてください。
② 繊維(せんい)
洋服やカーテン、マスクなどは、「繊維(せんい)」からできています。
この繊維も高分子の1つです。
繊維は、丈夫さや柔軟性などの特徴から、家の中のいたるところに使われています。
繊維には、綿などの天然のものとポリエステルなどの人工のものがあります。
人工のものは、合成繊維(ごうせいせんい)とも呼ばれ、ポリエステル、ポリウレタン、ナイロン、アクリルなどがあります。
また、天然のものには、綿や麻などの植物繊維と生糸、羊毛、カシミヤなどの動物繊維があります。
③ ゴム
ゴムも高分子の1つです。
ゴム特有の弾力を持っており、髪ゴムや輪ゴム、ズボンやパンツ、マスク、家電製品のパッキンなどに使われています。
天然ゴムも合成ゴムも高分子にあたります。
④ 植物や動物
植物や動物の体も高分子がたくさん含まれています。
植物の木の部分にはセルロースというとても頑丈な高分子があります。
また、動物の体をつくるタンパク質や脂質、DNAなど高分子です。
⑤ その他
その他にも、ガラス、ダイヤモンド、シリコン、洗濯のり、水晶、長石や雲母などの鉱物、石綿(アスベスト)なども高分子です。
ここまでくると、家の中のほとんど全てのものが高分子でできているということが分かりますね。
4. 便利な高分子
最後に、便利な機能を持った高分子たちを紹介したいと思います!
今回紹介するのは、「高吸水性高分子」「複写紙」「形状記憶高分子」の3つです。
① 高吸水性高分子(高吸水性ポリマー)
「高吸水性高分子」とは、元の体積の100倍〜1000倍の体積の水をたくわえることができる高分子のことです。
身近なところでは、オムツや生理用ナプキン、保冷剤、芳香剤、ペットシートなどに利用されています。
② 複写紙
「複写紙」とは、宅急便の送り状などで使われる紙で、1枚目に文字を書くと、2枚目にも文字が写る紙のことです。
昔は、紙の裏側が黒いカーボン紙をよく使っていましたが、現在では裏も白いタイプをよく見かけると思います。
実は、この裏が白いタイプの複写紙に高分子が使われています!その仕組みについて説明していきます。
白いタイプの複写紙には、1枚目の裏側と2枚目の表側に薬剤が塗ってあります。
この2種類の薬剤を閉じ込めておくために高分子のカプセルが使われています。
このカプセルに強い力がかかるとカプセルが破れて2種類の薬剤が混ざり黒色になります。
したがって、ペンで1枚目の表から力を加えると力が伝わり2枚目にも文字が写るのです。
③ 形状記憶高分子
「形状記憶高分子」とは、形を変えても温度を変化させることで元の形に戻る高分子のことです。
自動車の部品や医療機器、日用雑貨、おもちゃなど幅広く使われています。
5. まとめ
今回は、「身近な高分子の種類」について解説しました。
意外にも身近なにあるたくさんのものが高分子からできていることが分かっていただけましたでしょうか?
それでは、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!