中学校、高校の技術の授業でつかうはんだ(半田)は何でできているか知っていますか?
はんだは色々な金属を混ぜることで、いろいろなものに利用されます。この記事では「はんだとは」「はんだの特徴」「はんだの種類」などについて解説しています。
それでは早速、「はんだ(半田)」について一緒に勉強していきましょう!
1. はんだ(半田)とは?
「はんだ(半田)」とは、基盤に電子部品を固定したり、金属を接合するのに使われる金属のことです。
はんだごてという専用の機器を使って、はんだを溶かして他の金属をくっつけます。
はんだは「錫(すず)」という金属が主な原料です。
錫に何を混ぜるかによって、用途や特徴が変わります。
2. 全てのはんだ共通の特徴
なぜ金属の接合には、はんだ(半田)が使われるのでしょうか。
その理由は、はんだには次のような共通の特徴があるからです。
① 溶ける温度が低い。(融点が低い)
② 金属とくっつきやすい(ぬれ性)
③ ほどよい流動性があり、広がりやすい。
はんだには、このような特徴があるため、他の金属を使うよりも簡単に金属を接合することができます。
2. 「無鉛はんだ」と「鉛入りはんだ」の特徴
はんだ(半田)は、「鉛(なまり)」がはいっているかどうかで2種類に分けられます。
鉛の入っていないはんだを「無鉛(むえん)はんだ(鉛フリーはんだ)」、鉛がはいっているはんだを「鉛入りはんだ」といいます。
まずは、なぜ「鉛(なまり)」がはいっているかどうかが重要なのかというと、鉛には毒性があるからです。
(1) 鉛(なまり)には毒性がある
「鉛(なまり)」は、有害物質です。
鉛の粉じんや蒸気を吸ったり、皮膚に付着すると鉛中毒を起こす可能性があります。
鉛を大量に吸うと、手足の痺れ、顔面蒼白、嘔吐、下痢などの症状を引き起こす可能性があります。
そのため、鉛入りのはんだを環境基準をもうけて、制限する国もあります。
このような背景があり、現在は鉛が含まれていない「無鉛はんだ(鉛フリーはんだ)」が主流になってきており、日本で売られている家電に使われているほとんどに無鉛はんだが使われています。
(2) 無鉛はんだ(鉛フリーはんだ)の特徴
鉛が含まれていない「無鉛はんだ(鉛フリーはんだ)」のメリットは次の2つです。
① 環境基準を満たしているため、国内外のどの製品にも使うことができる。
② 鉛が含まれていないため、体にも環境にも優しい。
デメリットは次の3つです。
① はんだの融点が217℃と高めなので、溶けるまで時間がかかり、扱いにくい。
② 金属とのくっつきやすさ(ぬれ性)が低く扱いにくい。
③ 鉛入りはんだより値段が高い。
鉛フリーはんだは、デメリットもありますが、安全性の高いはんだなので、家電などの多くのもので使われています。
(3) 鉛入りはんだの特徴
鉛入りはんだでよく使われるのが、「共晶はんだ」というはんだです。
共晶はんだは、錫(すず)63%、鉛(なまり)37%でできています。
鉛入りはんだのメリットは次のとおりです。
① 溶ける温度(融点)が低く使いやすい。
② 金属にくっつきやすさ(ぬれ性)が高く、扱いやすい。
③ 錫(すず)だけのものより強度がある。
④ 無鉛はんだより安い。
一方、鉛入りはんだには次のデメリットがあります。
① 鉛は大量に吸い込むと鉛中毒を引き起こす。
② 不法投棄などをされると鉛が溶け出し、環境に悪い。
鉛入りはんだは、環境や人体に悪影響をあた得る可能性があるので、今の家電にはほとんど使われていません。
しかし、鉛入りはんだには強度があるという特徴があるため、ロケットや車など強度が重要なものには使われることがあります。
3. はんだの種類
はんだ(半田)には、用途や含まれるものによってたくさんの種類があります。
「無鉛はんだ(鉛フリーはんだ)」と「鉛入りはんだ」でそれぞれどのような種類があるのか解説していきます!
(1) 無鉛はんだ(鉛フリーはんだ)の種類
「無鉛はんだ(鉛フリーはんだ)」は、一般的に錫(すず)96.5%、銀3.0%、銅0.5%でつくられています。
この一般的な無鉛はんだは、融点が217℃と鉛入りはんだに比べると高いです。
他にも、使用用途によって次のような無鉛はんだもあります。
① 低温鉛フリーはんだ
ビスマスという金属を加えることで、融点を138〜170℃と低くしたはんだです。
ビスマスを入れることで金属とのくっつきやすさ(ぬれ性)も高まり、扱いやすくなっています。
② ステンレス用鉛フリーはんだ
ステンレス専用のはんだで、素早くステンレスを接合することができます。
(2) 鉛入りはんだの種類
鉛入りはんだには、「共晶はんだ」「高温はんだ」「低温はんだ」などがあります。
① 共晶はんだ
共晶はんだは最も一般的な鉛入りはんだてす。
共晶はんだは、錫(すず)63%、鉛(なまり)37%でできています。
溶ける温度(融点)が183℃ほどと低く、無鉛はんだと比べると30℃ほどの差があります。
② 高温はんだ
高温はんだは、鉛の量を増やして融点を高くした鉛入りはんだです。
高温の環境で、はんだが溶けては困る場合に使われます。
③ 低温はんだ
低温はんだは、高温に弱く、高温になると壊れてしまう機械などで使われます。
錫(すず)や鉛以外に、カドニウム、ビスマス、インジウムなどを加えます。